高橋節郎は、心に浮かぶイメージを抽象化した立体作品を数多く手がけています。それらは乾漆という技法によってつくられています。乾漆とは、粘土や石膏等で作った型の上に漆で麻布を貼って形をつくり、これを素地としてさらに漆を塗り重ねていくものです。 麻布を漆で固めた後に型を抜きとるものを脱乾漆といいますが、高橋の立体作品の多くは木心(芯)乾漆で作られています。これは、木でおおよその形を作り、その上から木屎漆(漆に細かい植物繊維を混ぜたもの)で肉付けし、微妙な造形を表す方法です。
高橋節郎は故郷の山々や京都、奈良などの風景を潤いある墨彩画で描き出し、漆芸とは異なる世界を築き上げました。 彼は、大学生の頃に見た下村観山や横山大観の作品に感銘を受け、それ以後墨画の魅力にとりつかれたそうです。 墨一色ではなく、鮮やかな色彩を用いて四季折々の風景を表す墨彩画の制作は、彼のライフワークにもなっています。