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輪島編その2
1.はじめに
 京都市立芸術大学の美術学部工芸科漆工専攻では、学生たちの漆教育にあたって、第一線で活躍する工芸家を招いて特別集中講座を実施することがあります。2018年度と2019年度では、螺鈿師で漆芸家の兼松俊明先生に螺鈿(らでん)を、蒔絵師で漆芸家の大町憲治先生に蒔絵を、仏師で彫刻家の吉水快聞先生に截金(きりかね)を手ほどきしていただきました。
 今回は、先生方の特別集中講座の様子を紹介いたします。
 
2.兼松俊明先生の螺鈿(らでん)講座
 螺鈿とは、貝殻の内側の真珠層とよばれるきれいな層を板状に削り出して、それを文様に切り出し、漆器の表面に貼ったり埋め込んだりする技法です。
 兼松先生は、青貝・螺鈿師であるお父さまの兼松清風氏に師事され、太宰府天満宮御神宝を製作されたり、伊勢神宮式年遷宮御神宝を製作されたりしています。
 兼松先生には2018年10月と2019年5~6月に、それぞれ5回講座として、螺鈿の実習を行っていただきました。 今回の講座では、厚さ約0.08mmの「薄貝(うすがい)」と厚さ約1mmの「厚貝(あつがい)」の2種類の貝を使いました。
螺鈿講座の様子 兼松先生の手ほどき
 まず、薄貝は文字通りとても薄いので、木綿針を使った貝を切る道具「針きど」を作ります。柳箸に短く切った木綿針を埋め込み、タコ糸で留め、最後に木綿布を巻きます。
 次に、針きどを使って薄貝を切り抜き、漆を接着剤として使い、実習用のパネルの漆の塗面に貼り付け、さらに貝の高さまで漆を塗り、磨いて完成させます。
 学生たちには手ほどきとともに、作業工程ごとの手板も示して説明され、とても勉強になりました。
手作りの「針きど」 薄貝の切り抜き 作業工程ごとの手板
 一方、厚貝は「すり台」という鍵穴状にくり抜いた板を机にとりつけて、金工用の糸鋸切で文様に切り抜き、ヤスリで形を整え、塗面を掘り下げて嵌め込みました。
すり台と金工用糸鋸 金工用ヤスリ 厚貝の嵌め込み
 学生たちは、薄貝を切り抜く道具の針きどを手作りすること、厚貝の取り扱いでは、塗面を掘り下げることと厚貝をヤスリで整えることに、苦労しているようでした。
 
3.大町憲治先生の蒔絵講座
 蒔絵とは、漆面に漆で文様を描いて、その漆が乾かないうちに、金や銀、錫などの金属粉を蒔いて定着させる技法です。
 大町先生は、蒔絵を中心に漆芸作家としてご活躍で、近年では京セラが開発した人工オパールの「京都オパール」を使用した作品《彩輝光》を中心に発表されています。
 大町先生には2018年11~12月と2019年10月に、それぞれ5回講座として、蒔絵の実習を行っていただきました。 なお、実習では金粉を使いたいところでしたが、近年どんどん金粉の価格が高騰し、1gあたり1万円ほどもします。 ちなみに、私が学生だった二十数年前は1gあたり2,700円程だったのを記憶しています。 学生たちにはちょっと(かなり?)痛手なので、今回は金粉でなく、銀粉を使った蒔絵の指導をしていただきました。
大町先生の蒔絵講座の様子 学生の作業の様子 銀蒔絵の仕上り例
 学生たちには、銀粉の細かさの違いや、銀粉を固める漆の種類による仕上がりの違いなどについてわかりやすく指導していただききました。
 
4. 吉水快聞先生の截金(きりかね)講座
 截金とは、金箔や銀箔を細長い線や小さな三角形や四角形に切り、膠(にかわ)で仏像などの表面に貼って文様を表す技法です。
 吉水先生が出演されたNHKの運慶のドキュメンタリー番組での截金作業を拝見していたのと、私の教え子の畑景子さんが吉水先生の工房で働いている関係からご縁ができて、トントン拍子で2019年12月に、截金実習を行っていただきました。
 1日だけの講座なので、あくまで体験講座になります。十数人の学生たちが受講し、畑さんがアシスタントとして面倒をみてくれました。
 まず、金箔を細かく裁断するための竹刀(ちくとう)づくりから始まりました。たかが竹刀、されど竹刀というかな、ああ無情、とでもいいましょうか、学生たちは不慣れのために、截金作業に入る前の道具つくりで悪戦苦闘でした。
吉水先生の截金講座の様子 吉水先生の手ほどき
 学生たちは、ようやく截金作業になっても、細かな裁断や貼り付け作業での悪戦苦闘は続き、苦労がひしひしと伝わってきました。
5.おわりに
 実習をしていただいた講師皆様に感謝いたします。学生たちには、第一線で活躍される先生方から技法を教わることができ、大きな刺激になったかと思います。作品づくりには、道具づくりからの苦労という醍醐味を深く堪能したのでは、と感慨深い状況です。
 ところで兼松先生には、以前にも京芸で螺鈿講座をしていただきました。私が学部三回生のときで、なんと24年前です。
 今回24年ぶりに、集中講座の講師として京芸にお招きしたのですが、当時と変わらず、とても教え方が上手で、講座中の私は、気分は学生に戻っていた次第です。姿は別ですが。。。
 また、実はそのとき、螺鈿の図案も自分で考えることになっていましたが、私は全然、イカす図案が思い描けず、苦しまぎれに、漫画チックなイカのシルエットとその周囲に花模様を描いて仕上げました。当時の私がしでかしたトホホな実習状況を、併せて思い出した次第です。まあ、いイカ。。。