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京芸漆工専攻特別授業編
1.はじめに
  2021年度、京都市立芸術大学(京芸)の漆工専攻では、学生達へのキャリアデザイン教育を試行しました。現在活躍されている若手女性漆芸家さん3名をお招きし、それぞれ自作やこれまでの歩みについての「1日特別授業」をして頂きました。その様子をレポートしたいと思います。
 
2. 永守紋子さん
  永守紋子さんは京芸の漆工専攻を卒業後、金沢の卯辰山工芸工房を修了され、グラフィックデザイナーとして2年間勤務後、漆芸家として独立されました。現在は、透漆(すきうるし)を活かした器やパネルを中心に、作品発表を精力的に行っておられます。大学を卒業してから 15 年間、様々な経験をされており、特に超絶技巧の漆芸家作家の橋本千毅氏の工房で培った経験は、今の漆芸家としての永守さんの原形になったようです。
卒業、修了を控えた学生達には、近い将来の自分に当てはめて、自分のキャリア形成について考えることができたのではないかなと思います。
永守紋子さん特別授業の様子 説明
永守紋子さん特別授業の様子     永守紋子さん漆作品
 
3. 吉田まゆさん
  吉田まゆさんは、金沢美術工芸大学(金美)、同大学院を卒業・修了後、卯辰山工芸工房を修了されたばかりの作家さんです。自分で木地の加工から、上塗り、加飾までの全行程を一人で行い、小さく装飾的で美しい蓋物などを中心に制作されています。卯辰山工芸工房時代には、東京のアートフェアに出品されたり、金沢卯辰山工芸工房賞を受賞されたりと大学院を修了されてからまだ3年ですが、活躍されています。金美での学生時代の様子や卯辰山工芸工房のことなどもお話頂き、コロナ禍で大学の学生同士の交流が少なくなり、他大学の状況がわかりにくい中、学生にはとても参考になったようです。また学生とも年齢が近く、アラフィフの筆者が忘れかけていた、学生目線でのお話も大変刺激になったようでした。
吉田まゆさん特別授業の様子 授業の様子 吉田まゆさん漆作品
吉田まゆさん特別授業の様子 吉田まゆさん漆作品
 
4. やのさちこさん
やのさちこさん特別授業の様子
やのさちこさん特別授業の様子 
  やのさちこさんは、京都伝統工芸専門校漆芸コースを卒業後、京都市伝統産業技術後継者育成研修漆工コースを修了された後に6年間漆芸家 服部峻昇氏に師事されました。服部先生のところで、蒔絵の技術や図案についてみっちり仕込まれたそうです。漆芸家として、独立後、木工作家のご主人とともに3 人のお子さんの子育てをされながら、活発に作家活動されています。
筆者の学生の頃は弟子入りした人もいましたが、今時の京芸の学生達からすると、「弟子入り」を卒業後に選ぶ学生はほとんどいません。作家活動で食べていくということや弟子時代のお話など、実体験をもとにした貴重なお話をうかがうことができました。
工房で作品を拝見
工房で作品を拝見
  今回、やのさちこさんを講師に迎えたのは、京芸の漆工専攻で蒔絵の特別講師をして頂いている大町憲治先生の紹介によります。大町先生も服部先生のお弟子さんで、やのさちこさんの兄弟子にあたります。
特別講師をお願いするまでお会いしたことがなかったので、打ち合わせがてら滋賀県湖西の工房兼ご自宅にお邪魔いたしました。
やのさんの作品は、器の木地に漆で和紙を貼り、何度も漆を塗り重ね、漆で絵付けして仕上げられています。柔らかい、風合いと色と、優しい絵柄が特徴です。伸びやかな線で描かれた軽やかな草花や動物は、さりげないながらも、さすが6年間弟子入りされていたという確かな技術を感じさせてくれます。
木地を漆で固めた沢山のお椀 スプーンと置目紙(下絵) アトリエから外を見る
木地を漆で固めた沢山のお椀 スプーンと置目紙(下絵) アトリエから外を見る
 
5. おわりに
  学年末にとった学生アンケートでも、特別講師の先生方にお話をうかがい、また直接質問できたことが大変学生に刺激になったことがわかりました。次年度も継続して、社会で活躍している作家の方々をお呼びできればと思っています。
そうそう、継続して読んでいただいている方は、前回の「漆あれこれ第 15 回乾漆立体作品制作_下地編」の制作中だった作品はどうなったのか?と気になっておられることでしょう。(気にならない?) 完成形をお伝えしたいと思います。下記のようになりました!
≪風様雷様≫
(かぜさまかみなりさま)
撮影:来田猛
参考作品
冨田溪仙≪風神雷神≫1917年(髙島屋史料館許諾済)
  「ある日本画の屏風作品からインスピレーションを受けて制作する」とお伝えしていた作品は、冨田溪仙作の髙島屋史料館所蔵、≪風神雷神≫でした。大正期の溪仙の神々をモチーフにした乾漆立体作品≪ 風様雷様≫(かぜさまかみなりさま)は、淡い色彩に散光する青の「差し色」を施し、天衣や風袋の布の特徴的な表現を取り入れた円満な造形の神様たちになりました。
コロナ禍も3年目で、特別講師の先生方や学生達、教員もすっかりマスク姿の写真ですが、早く、「風様雷様」にコロナ禍も吹き飛ばして欲しいトコロです。ちなみに今回の特別授業の会場写真は筆者の撮影によりますが、率直に言って下手です。講師の皆様、ごめんなさい。筆者の家族写真も含めて、シャッターチャンスを逃すこと多々で、上手になりたいです。